留学中、途中帰国したくなった時に考える、文化適応の心理学〜自分を客観的に見よう〜
留学していると
言語の壁、文化の違い、勉強の負担などで
楽しいことよりも辛いことの方が
上回ってしまう時ってありますよね。
そしてそんな時に思い浮かぶのが
途中帰国の4文字...
実際「留学 途中帰国」でググってみると
100万件もヒットします。
それだけ留学というのは
乗り越える壁の多いものだということが分かりますね。
私自身も、アメリカ留学中に途中帰国を何度も考えました。
ネットで情報を集めたりして解決策を模索しましたが、
「こんな人は留学に向いてないです」なんて情報も多々あり、
そこに自分を当てはめて
「自分なんて最初から留学しなきゃよかったんだ...」
と更に自己嫌悪。
また、大学に他の日本人学生もいましたが、
みんな上手くアメリカナイズされているように見えたので、
自分と比べてしまい、自己卑下が強くなり、
相談することもできず。
八方塞がりでした。
しかし、そんな私を救ってくれたものがありました。
それは文化心理学です。
異文化に触れた時に、自分の心はどんな状態になるのか
立ち止まって客観的に見つめることで
途中帰国をせずに、無事大学を卒業することができました。
文化心理学という学問を使って
留学生活について考える方法を書きます。
まずはじめに、心理学とは:
心理学(しんりがく、英: psychology)とは、心と行動の学問であり、科学的な手法によって研究される。
心理学はとても幅広い分野で、
例えばスポーツ選手の心を研究するスポーツ心理学や、
犯罪者の心を研究する犯罪心理学など、色々ありますが、
文化心理学とは
人の心・行動と、その人が触れる文化が、どのように影響しあっているのか
を考える心理学の一分野です。
こちらは、ブリティッシュコロンビア大学の教授が書かれた
とても分かりやすい文化心理学の教科書です。
この教科書の文化適応のパートを抜き出しますと、
・Lysgaard (1955)の研究によると、
海外長期滞在者には
ハネムーン期 --> カルチャーショック期 --> 適応期がある、
つまり海外生活において感情の動きがあるのは自然。
・適応期において、適応が上手くできるかどうは
様々な要因によって決まる。
例えば、母国と滞在国の文化の違いが大きければ大きいほど、
滞在国の文化への適応は難しくなる。
その「文化の違い」の度合いを表すものとして
代表的なものが滞在国の言語力(アメリカなら英語)。
つまり、言語の壁を感じているならば、
その分文化適応も難しい。
(Gullahorn & Gullahorn, 1963; Ying & Liese, 1991)
という感じです。
これだけを理解しても実際の問題解決には
繋がらないように思うかもしれませんが、
私はこういった情報だけでも
かなり留学生活を楽にしてくれるように思います。
というのも、こういった研究の数々によって、
人間というものがいかに環境に左右されやすいか
実感できるからです。
例えばアメリカ留学であれば、
感情の波に揺られながらも、授業を受け、勉強する。
日本語とは言語のルーツが全く違う、
英語という日本人には宇宙語のようなものを使って、
必死にコミュニケーションをとる。
文化心理学という学問が
(やんわりと)
「日本人のアメリカ留学は...厳しいっすね」
という研究結果を見せつけてきている中で、
それでも頑張って毎日を過ごしている。
それだけですごいことだと思わないですか?
こんなにすごいところまで自分自身を導いた心の強さを認めずして、
ある種普遍的な、海外留学での心のダメージだけを切り取って、
それを自分のせいにして責めることは
よくないと思います。
ぜひ文化心理学を勉強して、
自分をたくさんいる中のいち人間として客観視して、
自分でコントロールできることとできないことを分ける。
コントロールできる部分に力を注ぐ。
そんな風にして、もうしばらく留学頑張ってみてください。